BUSY SIGNAL特集

 UK出身の注目の新星、GAPPY RANKSのデビュー・アルバム『PUT THE STEREO ON』がGREENSLLEVESから登場しました。本作はレコード店/レーベルとして、また〈STUDIO ONE〉〈TREASURE ISLE〉などのUKの窓口としても長く活動を続けている名門〈PECKINGS〉のプロデュース作品。〈PECKINGS〉が提供した〈STUDIO ONE〉〈TREASURE ISLE〉などのオリジナル・リディムを多数使用した作品として、リリース直後から話題となって、現在幅広い世代のレゲエ・ファンに高い注目を集めています。

 で、既に各方面でこの作品について紹介されていますが、ココではその主役であるGAPPY RANKSに直接話を聞いてみることにしました。アルバムの理解につながれば幸いです。

 で、何度かの日程変更の末、よーやく確保したGAPPY RANKSですけと、携帯電話から聞こえたその声は楽曲同様にとてつもなく太く、黒く、大きく、自信に満ち溢れていました。とにかく早口に喋り倒す感じで、なんか圧倒されてしまいました。

GAPPY RANKS

PUT THE STEREO ON / GAPPY RANKS
PUT THE STEREO ON / GAPPY RANKS
GREENSLEEVES / GRE2079 / IMPORTS

01. MOUNTAIN TOP
02. HEAVEN IN HER EYES
03. PUT THE STEREO ON
04. PUMPKIN BELLY
05. HAPPIEST DAY OF MY LIFE
06. MUSICAL GIRL
07. A LITTLE UNDERSTANDING
08. THY SHALL LOVE
09. SO LOST
10. HEAVY LOAD
11. RUDE BOY
12. SOUL label feat. NEREUS JOSEPH


PVはこちらから!!

 GAPPY RANKS:Qまずですけど、改めて出身を教えて下さい。

GAPPY RANKS:出身はロンドン。北の方のハーレスデンという街で、ジャマイカ人やカリブ移民の多い地域で生まれ育った。親父はキングストン出身のジャマイカン、お袋はドミニカ出身で、どちらのカルチャーも受けていると思う。ロンドンにはそれこそ世界中のカルチャーや音楽が溢れているから、色々なものの影響を受けて育っていると思うね。


 GAPPY RANKS:Q「UKレゲエ」と言うと、個人的には南ロンドンのブリクストンとかのイメージが強いですけど、北でも盛んなんですね。

G:うん、ハーレスデンは確かにブリクストンほどは大きな街ではないし、ジャマイカン・コミュニティーも大きくはないかもしれないけど、ブリクストンよりもディープな感じで、JET STAR(UKのレゲエ配給会社)もあったし、レゲエ・カルチャーもより深く根付いている感じなんだ。まっ、お互いに川を挟んで北と南に分かれている感じで、全く別になっているわけではないけどね。以前はもっと分かれていたみたいだけど、現在は普通に互いに交流もあるし、自分の曲も最初にプレイしてくれたのはブリクストンのサウンドだったしね。


 GAPPY RANKS:Qロンドン生まれで、色々なカルチャーの影響を受けて育った中で、あえてレゲエを選んだ理由はなんだったんですか?

G:ソウルもR&Bもヒップホップも何でも聴いてたけど、レゲエは自分にとって特別な“ハートビート・ミュージック”で、気付いた時にはもうレゲエをやろうって決めてたね。それにはレゲエが他の全ての音楽の要素が詰まっていたというのもあるし、レゲエが自分のルーツでもあるジャマイカで生まれていたこと、それが世界中に受け入れられる音楽だということも魅力だったし、レゲエを通じて世界中の人とコミュニケーションできるということも魅力だったね。まぁ、簡単に言うと、“パワー・オブ・レゲエ”=レゲエの持つ力に惹かれたんだと思う。それは現在でも変わらないな。


 GAPPY RANKS:Qどのようにしてアーティストとなっていったんですか?

G:ハーレスデンには幾つかレコーディング・スタジオやリハーサル・スタジオもあって、学校に通っていた頃から、毎日学校帰りにはスタジオに寄って、その様子を見ていたよ。そこでは、JAZZWADとかが参加していたRUFF CUT BANDがよく録音とか練習していて、あとMICHAEL PROPHETとかCHUKKI STARとかも居て、彼らに誘われて歌い始めたのが最初だね。小学生ぐらいだったかな。それがある意味、自分のアーティストとしてのきっかけになるかな。

 ジャマイカン・コミュニティーとかは存在しても実際にロンドンでレゲエ・アーティストとして活動するのは至極困難なんだ。ロンドンでレゲエ・アーティストとして、活動の機会や生活をキープしていくのは大変なんだ。昔はもっとロンドンのシーンは大きくて、ASWADとか、TIPPA IRIEとか、PATO BANTONとか、ロンドンから世界に進出したスターとかも居たけど、現在は難しいね。おそらく以前はジャマイカが現在よりも色々な意味で「遠く」て、それを埋めるカタチでUKのアーティスト達の活躍のスペースがあったと思うけど、現在はジャマイカのアーティストで埋め尽くされているね。ニューヨークも同じ感じになっていると思う。あと、大きなダンスも以前みたいに開催できなくなっているね。治安とか色々な理由での圧力もあるし。活躍や活動の場がないと、スターは生まれないし、広まらないし、知られることもない、そんな悪循環があるな。だから、自分も当初はレゲエをベースにしながら、他のジャンルの作品に参加したり、色々と模索してたりしてたよ。うん、別シャンルにラガなフューチャリングしたりとかね。それはそれで成功もしてたよ。

 ただ、やはりレゲエを追求したくて、SUN CICLE CREWというダンスホール集団に参加して一緒に活動したりしてた。サウンドではなくて、アーティストとか色々な集団って感じかな。3年ぐらい在籍したけど、もっと自分のスタイルを追究したくて離脱したんだ。ただ、現在でも交流しているし、仲は良いんだけどね。

 そこを離れてからは、スタジオでエンジニアとして学んだりした。そして、自分で少しずつ機材を買い集めて、プライヴェート・スタジオを作った。2004年からは全部自分でそこで録音しているよ。そこで録音した作品をCDに焼いて、自分でアートワークとかもプリントして、毎回ダンスとか色々な場所で手売りとかしてたんだ。うん、完全にインディペンデントだね。どこもリリースしてくれるところなんて知らないし、自分でやるしかなかったからね。とにかく知ってもらうのに必死だったよ。


 GAPPY RANKS:Qそうした活動を続けて、どのタイミングでチャンスをつかんだんですか?

G:ある時にクーレン(スペル不明)っていう若いプロデューサーと出会って、彼が〈PECKINGS〉のCHRISを紹介してくれたんだ。で、CHRISは自分にダンスホールのリディムでレコーディングすることを提案したんだ。でも、自分はそれよりも、「〈STUDIO ONE〉とか〈TREASURE ISLE〉とかのリディムで歌わせてくれ」って直訴したんだ。だって、〈PECKINGS〉は〈STUDIO ONE〉とか〈TREASURE ISLE〉の一部みたいなもんだろ?、そりゃ、誰でも歌ってみたくなるだろ?。

 そしたら、CHRISは快くリディムを用意してくれて、「Mountain Top」「Heaven In Your Eyes」「Soul label」の3曲をすぐにそのまま録音したんだ。そしたら、「Mountain Top」で人気が出て、「Heaven In Your Eyes」は知っての通り、大ヒットになったんだ。そのヒットで状況は一変したね、ロンドンでは勿論だけど、ジャマイカの『STING 2009』にも出れるぐらいになったし、その模様をBBCが特別番組にしてくれたりとかね。〈PECKINGS〉を通じて、VP RECORDSやGREENSLEEVESのコンピレーションにも収録されたし、世界に自分の歌が届いたね。そうこうしてたら、SILVER STARってサウンドの知り合いが、VP RECORDS(GREENSLEEVES)を直接紹介してくれたんだ。で、『そりゃ、是非って』感じでアルバムを作ることにしたんだ。「Mountain Top」や「Heaven In Your Eyes」の流れを受けて、アルバム全体をそうした過去のオリジナル・リディムをたくさん使った作品にすることにしたんだ。〈PECKINGS〉には勿論だけど、そうした偶然や出会いや仲間達の協力に感謝しているよ。一人で全部出来たことじゃないよね。


 GAPPY RANKS:Qデビュー・アルバムで、そうした「レゲエの宝」のリディムでたくさん歌うことに躊躇とか緊張はありませんでしたか?

G:そういうのは全くなかったね。だって、〈STUDIO ONE〉も〈TREASURE ISLE〉も現在のダンスホールとかの基であって、全部つながっているもんだろ?、「宝」って言うけど、レゲエの歴史は60年もないだろ?、まだそんなに遺産ではなくて、現在も生きているもんだし、あまり必要以上にそれを特別視して歌ったりはしなかったよ。リスペクトはあって当然だけど、新しいものを歌うという意味では最新のリディムで歌うということ一緒なんだよ。

 このアルバムのテーマは「全世代をまとめる」ってことで、現在の若いダンスホールの世代には新鮮なものとして、古いレゲエの世代には懐かしいものとして、誰もが一緒に聴けることをテーマとしているんだ。『PUT THE STEREO ON(ステレオのスイッチを入れろ)』というタイトルも、平日は家族バラバラで、仕事や学校で忙しくしていても、日曜とかの休みの日ぐらいは、家族全員でステレオにスイッチ入れて、みんなで同じ音楽で楽しもうぜ、って意味なんだ。そこで楽しめるものを提供したい、って思ったんだ。

 あと、本作が自分のデビュー・アルバムだし、より多くの人や世代に自分を知ってもらいたいこともあって、こうした過去のオリジナル・リディムを多用した作品にすることにした部分もあるね。ただ、本作はあくまでもイントロダクションだ。自分はこうしたスタイルだけに限定されるアーティストではなくて、既に来年早々に『GIVE THANKS & PRAISE』ってアルバムをリリースするつもりだけど、それはもっと別な内容になる予定だ。もっと最新のダンスホールとか本作とは違うものにね。


PECKINGS RECORDS
▲クリックで大きな画像が見られます。

GAPPY RANKS

 GAPPY RANKS:Q〈PECKINGS〉プロデュースで、過去のオリジナル・リディム使用と言うと、どうしてもBITTY McLEANの『ON BOND STREET』と比較されると思いますが、そのへんはどう考えていますか?

G:全く違うものだね。BITTYは勿論素晴らしいシンガーで、素晴らしい仕事をしたけど、自分は全く意識しなかった。ただ、〈TREASURE ISLE〉とかをリディムで歌うという部分では同じだけで、それは当時の〈TREASURE ISLE〉にもたくさんの違ったタイプのアーティストがいて、同じリディムでみんなが歌っていたように、自分も違うスタイルでそれを歌って、どうやってそうした先人達と仲間になるかを考えたぐらいだね。


 GAPPY RANKS:Q曲によってシンガー、DJと使い分けていて、歌い方も変えています。あと、オールドスクールなフローを打ち出されていますが、そのあたりの思考を教えて下さい。

GAPPY RANKS

G:自分はどちらかと言えばDJだと思ってるんだけど、DJっというのもシンガーから生まれたもので、それはダンスホールがレゲエから生まれたのと同じように、基本は同じなんだよ。だから、シンガーとして歌う時もDJとしての要素も出るし、DJする時もシンガーとしての要素も出るし、区別があるようでなくて、曲に相応しいスタイルを自分で選択して表現しているんだ。リディムがオールドスクールなら、それに合った歌い方をしてみせるのが曲を一番良く仕上げることにつながるからさ。どっちにしてもGAPPY RANKSとしてのオリジナルなスタイルを追究することが大事で、そのために自分を限定しないし、今作でもそうだけど、曲によって自分の持っている才能を色々と使い分けて、一番良いカタチにすることに努めているね。

 曲によって変わる、って言うけど、自分は単純な人間ではないし、色々な音楽やカルチャーの影響も受けているんだから、それを発揮しないわけがないだろ? 同じことしかできなかったり、同じことしか歌えないのは、その人間がそれだけのものしか持ち合わせていなかったり、知らなかったり、魅力が足らないって意味なんだ。自分はそうではないし、それが自分の魅力だとも思うよ。この作品ではそうした自分の魅力の一部をイントロダクションとして伝えているんだ。あと、レゲエが全ての音楽の要素を取り入れているのに、歌う人間がレゲエしか知らなかったら、それはきっと良いものにはならないね。それと、レゲエは自分を苦しみから解放してくれる音楽なんだ。だから、歌うにあたっては何よりもナチュラルな自分で、そのままに素直に表現することが大切だと思って心掛けているよ。


 GAPPY RANKS:Q今後の予定を教えて下さい。

G:ここからイギリスだけでなく、ヨーロッパ、アメリカにもツアーに行く予定だよ。アフリカとかとにかく世界中の色々なところに行って、色々なものを見たいね。 色々な影響を受けたいし、色々な音楽に触れたい。音楽はどれも素晴らしいんだ、ジャンルとか有名・無名なんて関係ない。それをまた自分のレゲエに吸収して、レゲエとして世界に届けていきたいね。レゲエは世界に通じているから、それが出来ると思うしね。勿論、アジアにも行きたいし、特に日本には行きたい。色々なところで日本のレゲエ熱は聞いているし、誰もが行くべきところだと言っているし、是非近いうちに実現させたいね。「UK CUP」でMIGHTY CROWNを見たけど、とにかく驚いたね。日本人とは信じられなかったよ。日本のレゲエへの理解と愛情を垣間見た気がしたよ。あと、やはりジャマイカだね。うん、やはりレゲエの聖地だし、そこでもっと成功したいね。ジャマイカは常に刺激的だね。ロンドンとは全く違うけど、共有出来るところも多いし、何よりもインスピレーションに満ちた特別な場所だね。スタジオとかのヴァイブスも特別だ。ジャマイカでも受け入れられるアーティストだと思うけど、それをもっと深めていきたいね。 あと自分でもリディムを作っていて、ジャマイカ人のアーティストとかも録音したり、色々とプロデュースとかもしているからそうした部分も積極的にやっていきたいね。


 GAPPY RANKSGAPPY RANKS:Q最後に聞き忘れたんでけすど、芸名の由来を教えてもらっていいですか?

G:GAPPYは子供の時からのニックネーム、ずっとそう呼ばれている。RANKSはCUTTY RANKSから。彼がロンドンに来た時に知り合って、色々と教えてくれたり、影響も受けたんだ。キャリアの中で大切な出会いだったんだ。現在もすごく仲が良いんだけど、リスペクトを込めてCUTTY RANKSから取ったんだよ。



INTERVIEW & TEXT BY: 八幡浩司 / 24×7 RECORDS


↓ 二木崇さん(D-ST.ENT)からコメントもゲット!

企画性がいい意味で感じられない、何とも自然なDeeJayアルバムだ。ビティー・マクリーンの名作『ON BOND STREET』を制作したペッキングのサポートによる、全てのレゲエ人垂涎のオリジナル・ヴィンテージ・リディム使用作。なのだが、その味わいはビティー作とはまた違っていて、あくまでも”現代のダンスホール”として表現している感じ。しかも、彼、これがデビュー作なのだと言うから恐れ入る。声、間合い、フロウ、そして言葉、その全てが黄金のオケ群の”胸を借りる”のではなく、あくまでもガップリ四つ。そこがいい。オートチューンも必要とあらば使ってしまうその臆面のなさはブットい声にも現れているが、この男、歌心もアリ。ちなみにボブ「Soul label」をオケのみならず、カヴァー(トークオーヴァー)としてコンビネーションで披露している点もポイント高いが、アルバム全体の構成が何よりも魅力的だったりする。だからこそ、スキップすることなく何度もリピートしてしまうのだ。UK発の本格派DeeJayとして今後の活躍に期待出来るが(いきなりハードル上げました!) ・・・・・まずは、「このリズムはね・・・という先輩レゲエ・ファンとのコミュニケーション」も弾むこと請け合いの本作をチェックしていただきたい。  
二木崇(D-ST.ENT)


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