えー、待望の新作『MISSION IN PROGRESS』がリリース、ってことで今回はMORGAN HERITAGEの話。

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 えー、まぁ、毎回クオリティの高い作品をリリースしているMORGAN HERITAGEですけど、最初からそんなにスゴかったわけでは無く、所謂「下積み」時代がありましたな。結成が85年と言いますから、大きなプレイクまでは10年ぐらい掛かってたりしてます。

 個人的には、「Don't Haffi Dread」「Reggae Bring Back Love」とかぐらいからトップ・スター入りって感じで捉えていて、特に〈DIGITAL-B〉のBOBBY DIXONとの出会いによって、その才能が開花して、グループとしてのスケール感みたいなものが発揮出来るようになったと思ってます。

 よく自分も「BOBBY DIXONのプロデュースですから」と、品質保証的なコメントを書きますけど、やはりこの人はスゴいんです。個人的には、特にアーティストの才能を引き出す能力にズバ抜けて長けていて、その視点が他のプロデューサーと全く異なっていて、アーティスト自らも気付いていないような才能とか魅力を引き出すのに優れていると思っています。あと、過去のレゲエを現在に「変換」する能力も長けていて、時代に流されずに聴かれる作品を作れる稀な存在だとも思っています。

 おそらく、BOBBY DIXONの場合は、アーティストを見ていて、「あーやって、こーやったら良いのにな」っていうのが、分かっちゃって、その完成系を頭に事前に描けて、作品を作り出せるんでしょうな。SIZZLAの『DA REAL THING』なんてその典型ですけど、完全にアーティストを「料理」して、全く他と異なった世界観をしっかりと提示出来るのがスゴいんです。なので、「BOBBY DIXONプロデュース」と聞くと、ワクワクするんです。

 早速脱線しました。えー、MORGAN HERITAGEのコト。

 自分が「MORGAN HERITAGE」と聞くと、いつも思い出すことがあります。いつも通りにくだらない思い出です。

 まだ、MORGAN HERITAGEが今みたいにブレイクする前に、ニューヨーク経由でジャマイカに行くことがありました。90年代半ばかな。

 で、ジャマイカに入る前にニューヨークで何泊かしたんですけど、その間にコニー・アイランドでレゲエ・フェスが開催されていて、仕事関係にあったFREDDIE McGREGORも出演するというので、観に行くことにしました。確か、PAM HALLのマネージャーさん達に連れて行ってもらいました。そんで、確か、フェスには、FREDDIE McGREGOR以外に、DENNIS BROWN、ASWAD、EVERTON BLENDER、CAPLETONとかも出演してました。結構デカイ野外フェスでした。

 で、その時の楽屋がアーティストごとにキャンピング・カーになってて、自分はFREDDIE McGREGORのキャンピング・カーに入れてもらったりしてました。で、色々な人が出入りするのですけど、FREDDIE McGREGORはいちいちその全員に自分を紹介してくれて、嬉しい反面、チト面倒でもあって、「ココじゃなくて,外でショーが観たいな」とか思ってたハズ。その時に初めて会ったSISTER CAROLとかに延々と説法を喰らっていて、正直「だりぃー」とか思ってたハズ(スイマセン)。みんな逃げちゃって、自分一人が聞き役になってました。

 そんでその色々と紹介された中に、DENROY MORGANがいました。そうです、MORGAN HERITAGEのパパです。どうもFREDIDE McGREGORから事前に自分の情報をゲットしていたみたいで、色々と「ビジネス」な話を持ちかけられました。まっ、いきなり会って、しかもフェス会場でそんなこと言われても困るので、「また改めましょ」と言ったら、「だったら宿泊先を教えて。ホテルに電話するからそれで話そう」と言うので、「あー、そーしましょ」と気楽に教えてしまいました。まっ、電話があったら、その時に話せば良いかな、とも思ってたハズです。

 で、その日のフェスは途中でステージ前でガン・ショットが起きて、会場はパニックで突然終了。トリのDENNIS BROWNは出られず終い。大勢の客とも共に自分も楽屋に逃げたら、アーティスト達のキャンピング・カーは一斉に逃げ出す感じ。逃げ込もうと思ったFREDDIE McGREGORの車も無いじゃんよ。「ワー」「キャー」の中、PAM HALLのマネージャーの友達さんが自分を見つけてくれて、一緒に脱出した感じ。

 そんで、翌日ですよ。午前中っすよ。ホテルで出掛ける用意とかしてたら、電話がプルル。出たらフロントからで、「アナタに会いにロビーに『団体』が来てますが・・、通すべきでしょうか・・?」と困惑な感じ・・。「はぁ???、とりあえず、すぐ行きます」とロビーに降りたら、狭いフロアに「アフリカン」な衣装を着た団体がドーン! DENROY MORGANが「ハーイ!」と満面の笑みで立ってる・・。そんで、その後ろにはMORGAN HERITAGE兄弟全員&年少組で後のLMSとなる全員と、さらに2、3人がズラーり。確かに団体だ。

 「いや、DENROYさんよ、『電話で』って言ってませんでした?」と言うこちらを無視して、DENROY MORGANは「ハーイ、彼らがMORGAN HERITAGEで〜」と勝手に家族紹介がスタート。フロントのスタッフは「どうすんのお前?」な視線。

 「えー、わ、わかりました。とりあえず、ココではなんですし、僕の部屋に行きましょ」と自分の部屋に。とても全員一度にエレベーターは乗れない感じ。そんで、部屋と言っても、一人で行ってた安ホテルで、ワン・ベッドのスモール・ルーム。そこにそのMORGAN一家がズラーリ。で、寝起きなままのメイキングされていないベッドを真ん中にして、全員で立ち話スタート。

↓写真をクリックすると拡大表示します。 photo photo photo MISSION IN PROGRESS
MISSION IN PROGRESS / VP1779

 ニューヨークの安ホテルの一室に、寝起きの日本人が一人、その周りに十人以上のアフリカンな衣装を着たジャマイカンがズラリ。全員立っている。全員の視線は自分に。ねっ?、想像しただけで怖いと言うか、笑うと言うか、とにかく間抜けでしょ?

 で、話の内容は「ワシの子供達のMORGAN HERITAGEを日本でリリースしてくれんかー?」と言うもの。結構な圧力で、「さぁ『リリースしまーす』と言えー」な感じ。「子供達の前でワシに恥を書かせるんじゃないぞー」な感じ。まっ、そんなことを急に求められても困るので、とりあえず日本の状況とかを説明しつつ、「まずは検討させて下さい。今後のジャマイカでの活躍を見て、判断させて下さい」みたいな感じで答えたハズ。

 で、そういうシリアスな時でも、必ずアホは居るもので、全員の視線を感じつつ、懸命に自分が話をしているのに、LMSの一人がで隅の方で、自分が成田空港から持参して、ベッドのサイド・テーブルの上にあった純日本製の高性能エロ本とかを手に取ってじーっとチェックしていたのを忘れない。まっ、途中で話を止めて「そのエロ本は明日から行くジャマイカの日本人のブレジン用のお土産ですからー」なんて言ってもしょうがないので、無視したけど、絶対アイツは自分のことを「変態ジャパニーズ」と思ってたハズ。クソガキめ。

 あー、くだらねー。

 まっ、そんな時代もあったMORGAN HERITAGEですけど、すっかり立派になりましたな。あの時に部屋で彼らから感じた「圧力」もうまくサウンドとコーラスとなって、見事なグループに成長しました。BOBBY DIXONとの出会いを境に、色々な意味でデカく、逞しくなって、ニューヨーク&ジャマイカ育ちの両面の良さをうまくミックスしたオリジナリティを確立していますな。そのサウンドと世界観、あと何よりも「伝わりやすさ」と「分かりやすさ」は、現在のレゲエ・シーンにとっては貴重なハズ。現在もパンク・シーンとかともリンクして、幅広い活動をしていますけど、彼らを通じてレゲエの魅力を知った人達も多いハズ。で、それがもっと多くても良いハズ。

 もしかしたら、いろいろな先入観があるかもしれません。でも、まずは聴いてみて。聴けば一発で分かる「スタイル」をMORGAN HERITAGEは持っています。それを確認してみてください。

八幡浩司(24×7 RECORDS., INC.)

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