VPレコードの「V」と「P」、これは設立者であるヴィンセント&パトリシア・チン夫妻の頭文字から名付けられている。
1950年代はじめ、ジャマイカ音楽産業の未だ創成期と呼べる時代にヴィンセント・チンは、ジャマイカに置いてアメリカのレコードを輸入するビジネスを開始して、自らの音楽業界への扉を開ける。そして、58年に首都キングストンのダウン・タウンにレコード・ショップ“ランディーズ”を開業。ショップは当時のキングストンの若者の“人気娯楽スポット”として賑わいを見せ、やがて独自な音楽産業がジャマイカに確立させていくのに合わせて、輸入レコード販売にとどまらず、ジャマイカの最新レコードの販売、そしてジャマイカ産の音楽がマーケットの中心になるにつれて、やがて自らもレコード・レーベルも設立、音源制作から販売までを携わるようになる。ショップの運営、そして〈RANDYS〉〈IMPACT!〉といった自らのレーベルからも数多くのヒット放つなど、順調な日々を過ごしていたのだが、70年代始め、ジャマイカ政治・社会情勢が不安定な時期に陥り、島中が大混乱する中、当時の政治的なプロパカンダの波に押し出されるようにショップ/レーベルを閉鎖、ニューヨークのクイーンズ、ジャマイカ地区に移住することになる。
移住してすぐに電機店として“ランディーズ”を開業、新たなビジネスを模索することとなったヴィンセントとパトリシアだが、多くのジャマイカからの同胞が祖国の音楽を求めている状況を見て、ジャマイカよりレコードを輸入するビジネスを開始。これが大きな話題を呼び、やがて電機店を閉鎖して、79年に正式にレコード配給会社としてVPレコードを立ち上げることとなった。
以後、アメリカ国内、カナダを中心としたカリビアン・コミュニティをマーケットとして着実に発展し、次第にジャマイカの最新音楽を世界中に届けるジャマイカの中継基地的な役割を担う存在としてのポジションを確立。世界最大手のレゲエ配給会社として多くのファンから支持・信頼を集めていく。また流通業にとどまらず、レーベル活動、アーティスト育成も開始し、その適確なマーケティングと企画力で、世界のレゲエ・シーンのトレンド・セッターとして、シーンを牽引していくまで成長。特に90年代半ばよりヴィンセントに代わり、会社をコントロールする第二世代、クリス&ランディ・チンの時代に入ると、それまでのレゲエ・シーンだけに目を向けた展開から、より幅広いマーケットをターゲットとした展開を全面に打ち出し、ビーニ・マン、タント・メトロ&デヴォンテ、ベレス・ハモンド、レディ・ソウ、T.O.K.等を世界的にブレイクさせ、またトロント、ロンドン、東京、キングストンに次々と支部を設立し、世界的な宣伝・販売戦略を押し進めるようになる。そして2002年にはショーン・ポール、2003年にウェイン・ワンダー、エレファント・マンをメジャー・レーベル〈アトランティック〉とのジョイント・レーベルからリリース、各アーティストを世界的に大ブレイクさせ、世界中に現在のダンスホール・ブームを巻き起こすきっかけを創り出した。そして、こうしたアーティスト作品と合わせて、ジャマイカのレゲエ・シーンと直結した数多くのコンピレーション盤もリリース、『レゲエ・ゴールド』『ストリクトリー・ザ・ベスト』等、ここ日本国内でも輸入盤にも関わらず、共に約20万枚販売する強力な人気シリーズ他を多数送りだしている。
2004年には設立25周年を迎えたVPレコード、ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールやマイアミのベイ・フロント・パークで盛大な記念コンサートが開催するなど、その華々しい歴史を改めて世界のレゲエ・ファンに印象付けたが、今後のさらなるアクションに期待して頂きたいと共に、是非その作品を通じてVPレコードが愛するレゲエ、そしてジャマイカの魅力を感じて頂きたい。
24×7レコード/VPレコード・ジャパン
VPレコード・オフィシャル・サイト(英文)


